またフォークナー。 フォークナーの短編集に「These Thirteen」(1931)というのがある。 最初の自選・短編集で、13の短編小説がおさめられている。 このなかの作品のひとつが、前回書いた「A Rose for Emily」。傑作と言われている短編。 この13作品の…
フォークナーの仕掛け フォークナーだけは英語で読みたいとずっと思ってきた。 何の作品だったか、最初にフォークナーを読んだとき、初めて「英語は美しい」と思った。 あたりまえだが、翻訳で読んでもそのリズムや音の美しさは伝わってこない。 英語は「音…
しばらく書かずに放置してしまった。 このブログもネットの世界に無数に漂う「放置ブログ」のひとつになるところだった。 まぁ、殆ど誰も読んでいないのが幸い。 それにしても時々考える。 消去もせず、ああやって途中放棄されたブログの持ち主はどうしてし…
溢れる言葉から見えてくるもの 突然だが、健康診断会場で採血のときに気分が悪くなって倒れる男性がまれにいる。 そういう男性を見ながら女性ナースは、多分心のなかで「くっ」と笑いをこらえているに違いない。 「これっぽっちの血で!?」 採血で驚いてい…
この世の向こう側 今、自分が見ている現実だけが「世界」のすべてだと信じている人はどのくらいいるのだろうか? 日々、様々なことが生起しているこの地球で、生きて死んでいくこの人生。 そんな毎日のなかで、ふと「この世の外」のことを考える人のほうが多…
事実の迫力 韓国小説は実は初めて。 この本をもとにした映画も見たが、小説のほうが迫ってくるものはあった。 もちろん映画では、キム・ジヨン氏のひとつひとつの内的体験を言葉で語るわけにはいかない。 だからそれは仕方のないことかもしれない。 この小説…
「憧れ」の本質 読書歴はひとまず置いて、現在の読書に戻ろう。 「シブヤで目覚めて」は日本とチェコを舞台にしたチェコの作家による長編小説。 タイトルのシブヤは渋谷のことで、主人公ヤナの魂が閉じ込められてしまう場所。 本題に入る前だが、なぜ海外の…
「黒んぼのペーター」を書いたら、その後の自分の読書歴を書きたくなった。 インパクトのあった一番古い読書体験が前回の本だったとしたら、その後、手にとった本もまた私の人生のなかで、原体験のように残る本だった。 「黒んぼのペーター」の作者も、ナチ…
「黒んぼのペーター」エルンスト・ヴィーヘルト/國松孝二 訳 (岩波少年文庫 106) のっけから、ポリティカル・コレクトネスに抵触するようなタイトルの書籍。 タイトルにある「黒んぼ」とは、この物語の主人公が炭焼き人の息子で毎日真っ黒になって炭を焼…
最近、読書のための長座椅子を購入。 俗に言う「ゲームチェア」を読書椅子と呼ぶことにする。 一昨年までは読書に集中するときは喫茶店を使っていたけれど、コロナ禍でそれも難しくなってきた。 考えてみると、今まではどんなところで読書していたのだろう。…